穀物の中でも今最も注目を集めているスーパーフードが、このキヌアです。
キヌアの歴史
キヌアの原産国はコロンビアからアルゼンチンにかけてのアンデス山脈一帯とされています。
その歴史は古く、約5000年前から人々の食を支えてきた穀物で、古代インカ帝国では主食として利用されてきました。
スペインの侵略により一時は途絶えてしまったキヌアの栽培ですが、1990年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)がキヌアの特性に注目し、「21世紀の主要食」として宇宙食に推奨したことで、再び注目されることとなりました。
栄養面・取り扱いやすさ・用途・収穫率など、宇宙空間での長期滞在を想定した様々な点から考慮した上で、数多くの中で最も適している作物として発表されています。
現在では欧米諸国をはじめ、日本でも非常にブームとなっているスーパーフードの一つです。
特徴
キヌアの特徴は、穀物の中でも糖質が低くたんぱく質が豊富なこと、そして高い栄養価です。
また、複合糖質を持つキヌアは低GI値食品であり、血糖値の上昇や吸収が穏やかで、太りにくい穀物ともされています。
穀物の中でもタンパク質量が多いキヌアは、バランスよく必須アミノ酸を9種類含み、このアミノ酸スコアは動物性タンパク質である牛乳に匹敵します。
くるりとした白いひげは?
キヌアには様々な調理法がありますが、基本的に加熱調理を行います。
その際に出てくるくるりとした白いひげのようなものは、キヌアの胚芽です。
この胚芽にはたんぱく質や脂肪、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれており、成長すると芽になる部分です。
栄養成分
日本人が最も慣れ親しんでいる穀物である白米と比較すると、同じエネルギー量に対して良質な脂質が5倍、たんぱく質が2倍、食物繊維が8倍、カリウム・カルシウム、マグネシウム・リン・鉄などのミネラル類も総じて6〜10倍も含まれているのです。
また、健康に良いとされている玄米と比較しても、圧倒的にキヌアに軍配があがります。
食物繊維は約1.5倍、たんぱく質も約2倍、カルシウムは4倍含まれています。
他の穀物と比較して特に豊富に含まれている成分の一つであるビタミンB2には、皮膚粘膜を保護して肌を美しく保つ効果、ビタミンB6にはアミノ酸代謝を高め肌荒れや口内炎を予防する働きが期待できます。
また、キヌアの注目成分としてフィトエストロゲンが挙げられます。
これは女性ホルモンにも含まれている成分で、エストロゲンに似た作用を持っています。
そのため、フィトエストロゲンの摂取は、骨粗しょう症の予防や更年期障害の改善に繋がります。
- 必須アミノ酸
- 良質な脂質
- 食物繊維
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
- 鉄
- ビタミンB群
- ナイアシン・・・糖質や脂質・たんぱく質の代謝に不可欠
- パントテン酸・・・肥満防止に有用
- サポニン・・・血中脂肪を低下させる
- フィトエストロゲン・・・更年期障害の改善・・・など
期待できるメリット
- 他の穀物と比較して糖質が低い
- たんぱく質が豊富で必須アミノ酸を9種類含む
- 低GI値食品であり、太りにくい
- 更年期障害改善
- 骨粗鬆症の予防
- 良質な不飽和脂肪酸によるコレステロール値の低下
- 豊富な食物繊維による便秘解消
- 動脈硬化や糖尿病、ガンなどの生活習慣病の予防
- 貧血の予防
- 抗アレルギー作用
- 代謝促進効果
- グルテンフリー・・・など
選び方・利用方法
収穫されたキヌアの種子はサポニンという苦み成分で覆われています。
一般的に市販されているものは、精製されているためサポニンは除去されている場合がほとんどですが、残留している可能性もあるため、使用前には、目の細かいざるで良く洗っておきましょう。
キヌアの調理法には、ご飯とともに炊く他に、茹でたり炒めたりする方法もあります。
ご飯とともに炊き込むキヌア入りご飯が手軽な調理法ですが、茹でてサラダやスープに入れたり、炒めていりごまのようにしてふりかけたりと、その用途はさまざまです。
詳しいレシピなどはLesson28-3を参考にしてください。