Lesson7-1 蜂関連の食品(Bee Producta)①

蜂に関連する食品というと、最も有名なのはハチミツでしょう。
その栄養価の高さは既に多くの方がご存知ですが、「天然の完璧なサプリメント」と呼ばれるスーパーフードとしての蜂関連の製品は、ハチミツ以外にも沢山あります。

蜂関連の食品(Bee Producta)

633aeb158a5c67e2177ed141ab0d1f3d_s

スーパーフードとしての蜂関連食品として、特に注目を集めているのが、ローハニー(Raw Honey)、ビーポーレン、ローヤルゼリー、プロポリスです。

蜂製品の歴史

スーパーフードには、歴史が古く数々の伝説が残るものが数多くありますが、カカオと蜂関連食品は、その中でも逸話が最も多いものです。
その歴史は古く、有史以前の人々の生活が描かれているスペイン北部の洞窟壁画においても、ハチミツ採取の様子が描かれているほどです。

現在の養蜂技術は古代エジプトで始まったと言われており、蜂は宝石や寺院の壁画、ロゼッタストーンにも彫り込まれています。
それほどエジプトの人々にとって蜂は重要な存在であり、神への捧げ物としてもハチミツやビーポーレンを用いていたと伝えられています。

さらに紀元前140年〜紀元後300年までのギリシャやローマでも広く利用されており、当時を代表するホメロスの叙事詩である「オデッセイ」や「イリアス」でもハチミツや花粉(ポレン)が取り上げられていたり、科学者として有名なピタゴラスもハチミツを毎日食べていたと伝えられています。

特徴

蜂関連のスーパーフードをご紹介する前に、もう少し蜂関連食品や蜂のことについて学習しておきましょう。

ハチミツなどを集める蜂は、日本でミツバチと呼ばれていますが、実際に蜜を集めるために飛び回る働き蜂は全てメスであり、一匹の働き蜂が一生かけて集めるハチミツの量はなんとわずか大さじ半分と言われています。

そのため、瓶一杯のハチミツ(約450g)を集めるために、200万個もの花の元に飛び立ち、一つの巣箱の蜂がおおよそ8.8万kmもの距離を大冒険しているのです。

一つの蜂の巣箱には、最大8万匹もの蜂が共に暮らしていますが、そのなかで女王蜂はたった一匹、そしてオスの蜂が数百匹存在し、残りはメスの働き蜂となります。

女王蜂は1日に最大で3000個もの卵を生むこともあり、年間では20万個にも及びます。
蜂の寿命は3〜6週間と短いため、それだけの卵が生まれても巣が溢れかえることはありません。

また蜂は非常に正確な生物であり、一度に一種類の花からしか蜜を採取しません。
例え同じ色の花が隣り合って並んで咲いていても、間違った花の花粉には決して触れなかったという研究結果があります。

蜂関連のスーパーフードの種類

蜂関連のスーパーフードには、下記のものがあります。

  • ローハニー(生のハチミツ)
  • ビーポーレン
  • プロポリス
  • ローヤルゼリー・・・など

蜂関連の食品はどれも魅惑的な食べ物であり、その栄養価の高さが特徴です。

ローハニー/生ハチミツ(Raw Honey)

spoon-honey-jar

ハチミツは今や日本でも身近な食品となり、スーパーやコンビニでも手に入れられるようになりましたが、その品質は様々であり、現在では水飴が混ぜられたハチミツ風甘味料なども存在するなど、質の低下が問題となっています。

加熱処理することでハチミツの瓶詰めは簡単になり大量生産が可能となりましたが、本来のハチミツが持っている香りや味、下記に記載している様々なメリットは、65℃以上の加熱により全てが失われてしまいます。

そのため、加熱処理が行われていないもの、ノンフィルターで処理されたものや低温のフィルタリングでろ過されたローハニー(生ハチミツ)であることが非常に重要です。

スーパーフードとしてのハチミツは、天然由来のオーガニックのもので、ろ過されていない生のハチミツ、ローハニー(Raw Honey)です。
一般的なハチミツは加熱処理や濾過処理など加工工程を経ていますが、それらの加工がない生の状態のハチミツには、豊富なミネラル類や抗酸化物質、プロバイオティクスや酵素が豊富に含まれています。

また食品としてだけではなく、生のハチミツは古来より医薬品としても用いられてきました。
傷口を細菌から守り傷の治りを早くする外用薬として、また下痢や感染疾患の緩和に役立つ処方薬として利用されてきた歴史を持ちます。

処方薬としてのハチミツ

  • 下痢
  • 潰瘍
  • 感染
  • 過敏性腸症候群
  • 胃腸に関する疾患
  • ガン
  • 細菌が引き起こす感染症(髄膜炎・肺炎・結核など)
  • 虫歯や歯周病などの口内トラブル

などの様々な症状において、ハチミツが抗生物質としての役割を果たすことがあります。

また、天然の生ハチミツには高い保湿効果があることから、化粧品などにも利用されています。
荒れた唇にハチミツパックなどをされたことがある方も多いかと思いますが、品質の高い生ハチミツでは、その効果は絶大です。

栄養成分

生ハチミツは、加熱加工や殺菌処理されたハチミツとは異なり、粘土が高くドロドロしているのが特徴です。
しかしこれによりハチミツ本来の味が保たれており、含まれる栄養成分は150種類にも及ぶと言われています。

ビタミンB群、パントテン酸、コリンなどの役10種類のビタミン類や、カルシウム、カリウム、鉄などの約27種類ものミネラル、ブドウ糖やどの炭水化物に酵素などが含まれており、さらには蜂の腸管にしか存在しないとされている乳酸菌(アステロイデス菌やインジカム菌)が含まれており、腸内環境を整える役割も果たします。

これらの菌を利用して、生ハチミツを豆乳に加えると豆乳ヨーグルトが簡単にできることでも話題になっていますね。
これは生きた生のハチミツでしたできないものです。

殺菌効果の高いマヌカハニー

ハチミツの中でも近年特に注目を集めているのが、ニュージーランドに自生するマヌカ(ティーツリー)の花蜜から採取されたマヌカハニーでしょう。
これはピロリ菌や大腸菌、黄色ブドウ球菌など、胃炎や胃潰瘍の原因とされる有害細菌に対する効果が高いとされている、メチルグリオキサールという抗菌成分を多く含んでいます。

 

ビーポーレン

bee-356483_960_720

ポーレンとは花粉のことで、ビーポレンとはミツバチが集めた花粉玉のことです。
ミツバチは蜜の採取と同時に花粉も採取しており、体内から酵素を分泌させ、この酵素を花粉にからめて玉(団子状)にし、巣へと持ち帰ります。

ビーポレンはアルカリ性食品であり、自然界の中で数少ない「完全な食品」と考えられているほど栄養価が高いものです。
栄養成分については後ほど学習しますが、ビーポーレンは抗酸化力が高く、私達の細胞を老化させるフリーラジカルを無効化する働きや、媚薬的な効果や生殖機能改善効果、体力増進効果や、アレルギー抑制効果などが研究されています。

栄養成分

ビーポーレンには、私達が体を維持するために欠かせない豊富なタンパク質(必須アミノ酸)をはじめ、18種類のビタミン類(ビタミンA・B1・B2・C・D・E・葉酸・パントテン酸・ニコチン酸など)、炭水化物、24種類のミネラル(カルシウム・マグネシウム・鉄・リン・ナトリウム・ヨウ素など)、必須脂肪酸を含む14種類の脂肪酸、また色素や酵素、抗酸化物質、核酸など、こちらも150種類以上の成分をバランスよく含んでいます。

さらに、ステロイドホルモン物質や人体にメリットがある植物ホルモン、レシチンなど、新たな栄養素が続々研究、発見されています。
ビーポーレンに含まれるミネラルの成分構成についても科学界では未だに議論が繰り広げられています。

タンパク源としてのビーポーレン

肉・魚・卵や乳製品などを摂取しない人々のタンパク源として注目を集めていますが、ビーポーレンに含まれるタンパク質は25%と、グラムあたりのタンパク質量は肉やと比べて5~7倍とかなり優秀であり、さらにビーポーレンには酵素も豊富に含まれているため、消化にも負担がかかりません。

抗アレルギー・抗ストレス効果

ビーポーレンの摂取により、ヒスタミンの生成が抑制されることがわかっています。
これにより多くのアレルギー反応が抑えられます。
花粉症の方は、花粉玉なんてとても食べられないと感じられるかもしれませんが、実際に花粉症にも多くのメリットがあることがわかっています。

また豊富なビタミンBとタンパク質により、ストレスへの耐性が強まります。
幸福感を感じるホルモンセロトニンの原料はアミノ酸のトリプトファンです。

ストレス耐性は健康にも大きなメリットをもたらし、健康やアンチエイジング、病気の治療にも役立ちます。

 

ローヤルゼリー

ローヤルゼリーは、その名の通り濃厚な乳白色のクリーム状の物質です。
これは幼虫を育てる特別な役割をもった蜂達が体内で花粉とハチミツを合成して作り出している物質であり、その原料は生ハチミツとビーポーレンです。

ローヤルゼリーに関しては未だに解明されていないことも多くありますが、健康面で様々なメリットがあることがわかっています。

  • 若返り効果
  • アンチエイジング効果
  • 肌のハリを維持する
  • 月経障害や前立腺の問題に有用で、生殖機能を高める
  • 関節炎の痛みを軽減
  • 抗うつ作用・・・など

栄養成分

ローヤルゼリーにも他の蜂関連の食品と同様かそれ以上の栄養成分が含まれています。
ビタミンB5をはじめとするビタミンB群・アミノ酸・カリウムやマグネシウム、亜鉛や鉄、マンガンなどのミネラルや、カフェイン並の活性化作用があることもわかっています。

また思考力の高まりに影響を及ぼすアセチルコリンの含有量が多く、アルツハイマー病の治療の助けとなることでも知られています。

ローヤルゼリーについては多くの研究が行われてきましたが、ローヤルゼリーの性質は大変複雑であり、その成分や薬理特性などについては未だ全てを分析しきれていない状況です。

今後さらに研究が進めば、より素晴らしいメリットが発見されていくことが期待されています。

プロポリス

プロポリスは、植物や樹木が分泌する粘着性のある樹脂とミツバチが分泌する酵素によって創りだされています。
樹脂はもともと、木々が自分たちの傷を修復するために分泌しているものであり、それを原料として作り出されるプロポリスには、バイオフラボノイドが含まれており、これらは強力な抗生・抗菌作用を持ちます。

天然の治療薬として用いられてきたプロポリスには様々なフラボノイドが含まれており、傷の治療や感染部分への抗炎症作用により、細菌やウイルスへの対策になるという研究結果もあります。

プロポリスはとても複雑な物質です。
プロポリスが持つ数百もの科学的特性は巣によって異なり、また蜂が住んでいる環境やプロポリスが採取された時間によっても異なります。

そのため、現在のところプロポリスの合成や生成は行われておらず、全て天然の製品となります。

栄養成分

プロポリスには、ミネラルや樹脂、ビタミンC・E・A・B群が豊富に含まれ、バイオフラボノイドやアミノ酸も多く含まれています。

バイオフラボノイドには毛細血管や血管を修復して強化し、不要な細菌を抑制、有用な細菌を助ける働きがあることがわかっています。