学術的分類:ヤシ科ココヤシ属
学名:Cocos nucifera
古代インドの言語であるサンスクリット語で、Tree of Life(生命の木)とも呼ばれるココナッツ。
有名ハリウッドセレブが美容や健康のために取り入れているとして注目されはじめてから、日本でスーパーフードの存在地位を高める役割を果たしたものの一つでしょう。
今では様々な製品が輸入・製造されており、日本で手に入りやすいスーパーフードの一つとなっています。
ココナッツの歴史
ココヤシは、私達人類の誕生より前から存在するといわれており、その歴史は一億年以上前まで遡ります。
その原産国についてはフィリピンという説が濃厚ですが、まだはっきりとは分かっていません。
東南アジアやポリネシア地方などの熱帯地域一帯で年中収穫されており、ココナッツの生産はこの辺りの地域がほどんどを占めています。
特徴
ココナッツはココヤシの種であり、生命力に満ちあふれています。
その木の高さは約30mまで成長し、葉の大きさは3m以上となります。
ココヤシの生育環境
ココナッツウォーターは、その豊富ミネラルから、天然のスポーツドリンクとも言われ注目されていますが、これはココヤシの生育環境と深い関わりがあります。
ココヤシといえば、南国の海の近くを思い浮かベる方も多いでしょう。
ココヤシは耐塩性が強く、そのため海の近くでも成長することができ、肥料として海水をかける場合もあります。
砂地を好み、強い日光と多量の雨、高い湿度がある環境を好み、温暖な気候を好みます。
このような条件が揃わない環境での育成は、木は成長しますが実が大きくならないということが多々あります。
捨てる部分がないココナッツ
ココナッツの特徴の一つとして挙げられるのは、捨てる部分がないほど用途が多岐に渡る点でしょう。
スリランカでは、「ココヤシには99通りの利用法があり、100番目の利用法もやがて間違いなく見つかるだろう」と言われています。
それほどココヤシには果肉、殻、葉、樹木の全てにおいて様々な使用法があります。
ココナッツウォーター(実のなかに蓄えられた水分)は、酢酸菌を培養することで寒天状の物質ができますが、これはナタデココとなります。
果肉からはココナッツオイル、ココナッツミルクが、また搾りかすを乾燥・粉砕させることでココナッツファイバー(ココナッツファイン)が作られます。
またココナッツクリームやココナッツシュガーなどの製品へと変化もします。
大きく成長する葉は、生産国では屋根葺きに使用され、耐久性に大変優れています。
また海水にも強く、漁では魚を集める道具の原料としても利用されます。
ココナッツの構造
ココナッツの殻は、内側から硬い部分(内果皮)、繊維質の柔らかい部分(中果皮)、一番外側の表面部分(外果皮)の3層構造となっています。
- 内果皮・・・その硬さを活かした活性炭や皿・スプーンなどの食器、アクセサリーなどに加工
- 中果皮・・・繊維質の柔らかさと抗菌性を活かした足拭きマットや自動車のシート、ロープや防音壁材などに加工、コヤファイバーとして亀の子たわしなどにも。
また、花が咲く部分の茎である花序を切ると切り口から蜜液が採れ、これはココナッツハニーやココナッツネクターとなります。
これを煮詰めて水分を蒸発させたものが、血糖値が上がりにくいことで注目されているココナッツシュガーです。
また食べる以外にも、ココナッツオイルは古くから食品用洗剤や石鹸にも用いられています。
石油などから工業的に作られた洗剤は自然界で分解されにくいですが、ココナッツオイルなど生物系の油脂は分子構造が単純なため、石油系のものよりも非常に分解されやすく、自然に優しい製品です。
ココナッツオイルに約50%含まれるラウリン酸は、生物系の油脂の中で最も洗浄力が高いと言われています。
ココナッツ製品や栄養成分
ココナッツウォーター
ココナッツの実の中には、豊富な水分が蓄えられており、これはココナッツウォーターと呼ばれ、「この世で最もきれいな水」とも言われています。
純粋なココナッツウォーターは自然界で最も電解質を多く含み、天然のスポーツドリンクとも言われています。
特にヤングココナッツウォーターの成分は、私達人間の血漿とほぼ同じだと言われており、体液とほぼ等しい浸透圧で、かつて太平洋戦争の時代には、負傷兵の応急処置の輸血でココナッツウォーターが用いられたとも言われています。
ココナッツには天然のろ過作用があり、根から吸い上げた水分が実に達するまでに、約9ヶ月の時間を要しています。
その間にココヤシの繊維を通過した水は、豊富な有用菌(酵母菌、乳酸菌、酢酸菌など)を含んでいます。
ヴァージンココナッツオイル
今日本で最も手に入れやすく、注目されているスーパーフードの一つは、このココナッツオイルでしょう。
しかし、その流行のスピードに正しい知識や使用法がついていかず、あまり使用に好ましくない製品も流通しているようです。
ココナッツオイルは、成熟したココナッツの実の果肉(コブラ)から抽出されます。
オイルの製法には様々なものがあり、ココナッツクリームを加熱し水分を飛ばして抽出する方法や、コールドプレス(低温圧搾)製法などがあります。
安価なココナッツオイル商品は、抽出工程において精製という処理を行っており、ココナッツ独特の甘い香りがない場合が多くなります。
一方コールドプレス製法(低温圧搾法)は、高熱を加えずじっくり丁寧に抽出する製法で、この製法で抽出されたココナッツオイルはヴァージンココナッツオイルと呼ばれます。
バージンココナッツオイルは、圧搾後2、3日の熟成工程を経てミルク分と水分を分離して取り出します。
その際の温度と時間により品質が大きく変化し、香りにも影響を与えます。
ヴァージンココナッツオイルは、オイル自体にココナッツの甘い香りが含まれているのが特徴です。
こちらのほうが手間や時間がかかることから、一般的に高価な商品が多くなりますが、熱を加えないことでその栄養成分が変性することがなく高品質と言えます。
購入する際には、コールドプレス製法で搾られた甘いかおりのする高品質のヴァージンココナッツオイルを選ぶようにしましょう。
栄養成分
ヴァージンココナッツオイルには、中鎖脂肪酸が自然界で最も多く含まれています。
中鎖脂肪酸は、一般のオイルと比較して数倍の速さで吸収や代謝が行われるのが特徴で、体内に蓄積されずにエネルギーとして効率よく利用され、その際には体脂肪の燃焼を助けるという研究もあり、現在美容とダイエット・健康維持のオイルとして注目を集めています。
また、免疫力を高め抗菌活作用のあるラウリン酸も含まれています。
このラウリン酸は母乳にも含まれる成分です。
ココナッツシュガー・ココナッツネクター
ココナッツシュガーやココナッツネクターは、花が咲く部分の茎である花序を切ると切り口から出てくる蜜液から採取されたものです。
低GI値の甘味料(GI=35)で、血糖値を上げにくい甘味料として今注目を集めています。
栄養成分
ココナッツの特徴である豊富なミネラルが含まれており、カリウム、マグネシウム、リン、亜鉛、鉄などの必須ミネラルが豊富なほか、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)も含まれています。