Lesson27-2 日本のスーパーフード①発酵食品Ⅰ

発酵食品

日本が誇る伝統食品に、発酵食品発酵調味料があります。

発酵食品とは、「食材に対して何らかの発酵に基づく加工が成された食品」と定義づけられています。

「発酵」とはそもそもどういったものなのかというと、食品に含まれる糖質、たんぱく質などが乳酸菌や酵母菌、麹菌などの微生物が作り出す酵素により分解され変化することを指しています。

発酵の歴史は古く数千年前まで遡ることができ、最古の発酵の始まりはワインだという説がありますが、西洋文化ではヨーグルトやザワークラフト、アジアではテンペやキムチなども有名です。

現在では、発酵は微生物などの働きによって生じていることが解明されていますが、古代の人々は自然的現象により発酵食品を作り上げていたと考えられています。

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発酵により、栄養素が吸収しやすくなる、うま味や風味が増す、微生物がビタミンなどの栄養成分を作り出し、酵素が格段に増加するなど、食品には様々な変化が起こります。

また抗酸化作用物質が生成される、保存性が高まる、発酵独特の旨みが出るなどの変化も生じます。

栄養素が強化され、アンチエイジングにメリットのある抗酸化物質が含まれるなど、素晴らしいメリットが享受できる発酵食品は、スーパーフードの名に損じることのない伝統食品でしょう。
味噌をはじめとした発酵調味料も、長寿食として世界からも注目されており、日々研究が進められています。

味噌

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大豆を発酵させた味噌は、たんぱく質が発酵過程で20~40%ほど分解されてアミノ酸に変化するため、大豆が吸収されやすいようになっています。

本来消化に時間がかかる食品の代表格であるたんぱく質ですが、体内で合成出来ない必須アミノ酸9種類が発酵により消化吸収のすぐれた形で含まれているのです。

また栄養素も豊富です。

ミネラルを多く含み、サポニンやレシチンによるコレステロール低下作用、コリンにより脂肪肝防止の作用やアルコールを排出する作用も期待できます。
またイソフラボンも吸収に優れた形で含まれており、遊離リノ-ル酸にはメラニンの合成を抑える働きも期待できます。

また厚生労働省研究班の2003年の発表では、1日3杯以上のみそ汁の摂取により乳がんの発生率が40%減少したとの報告や、1981年国立がんセンター研究所の調査では、26万人の食生活を17年追跡調査したことにより、味噌を食する頻度が高い人ほど胃がんによる死亡率が低かったとの報告もあります。

東日本大震災以降、放射線と味噌との関連性も注目されていますが、これに関しては明確な研究データは公開されていません。
しかし味噌には様々な秘められた力があり、古来より多くの日本人の健康に寄与してきたことは事実と言えるでしょう。

味噌に含まれる栄養素

  • ビタミンB群、E、K、
  • ナトリウム
  • カリウム
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • リン
  • 亜鉛
  • ヨウ素
  • セレン
  • クロム
  • モリブデン
  • 食物繊維
  • サポニン
  • レシチン
  • コリン
  • イソフラボン
  • 遊離リノ-ル酸・・・など

発酵調味料を選ぶ上での注意点

味噌やしょうゆ、みりんなどは、日本の伝統的な発酵調味料です。
しかし現代では、その製造方法によりスーパーフードとしての力を持たない発酵調味料が多く見受けられます。

古来より発酵調味料は、素材を作る農家の方々の多くの手間と、その素材に愛情を込めて発酵過程を受け持つ職人の方々の多くの時間や手間暇が必要でした。
本物の発酵調味料は、このようにしてゆっくりと時間をかけて創りあげられるものだったのです。

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しかし現代では化学技術や化学調味料の発展により、「速成醸造法」という製造方法が一般的となっています。
速成醸造法では、味噌などは数週間~2、3ヶ月、長くて半年で出来上がります。

速成醸造法により短時間で作られたものは、そのままではコクや香り、旨みがないために、ここに化学調味料や添加物などを添加する必要が出てくるのです。
こうして発酵調味料ではない「味噌らしいもの」「醤油らしいもの」が出来上がります。

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味噌はまだ添加物が少ないとされていますが、『調味料(アミノ酸等)』と裏に表記があるものは、人工的に作られたうま味添加物が数種類入っていると考えられます。
『ビタミンB2』は、熟成期間が短く色の良くない味噌の着色料として使われています。

さらに『酒精、アルコール』と表記があるものは、麹菌を不活して発酵を止めるために添加されているものです。
本物の味噌は本来発酵し続けているのが普通なので、色も香りも変化して当たり前のものでした。

しかし安い原料で大量生産大量流通させることを目的に、長期間色や味を一定にしておくためにこれらの添加物が使用されています。

スーパーなどでも調味料はとても安価に手に入りますが、このように短期間で手間をかけない製造方法が浸透したために発酵の良さが失われているのが実情です。
これらはもはや日本伝統の発酵調味料とは別物と言えるでしょう。

手間暇をかけて作られたものは確かに価格が高くなりますが、調味料は毎日使用するものであり、一度購入すれば長く使用できます。
スーパーフードスペシャリストとして、ぜひ調味料にもこだわってみましょう。
原材料や製造方法を確認し、信頼できるメーカー、製造元のものを選ぶようにするのがおすすめです。