バオバブの歴史
「生命の木」とも呼ばれているバオバブは、アフリカを中心とした亜熱帯から熱帯に分布している巨大な樹木です。
他の植物が生息することが困難な、暑くて乾燥した環境であるサバンナやオーストラリアにも生息し、強い生命力を持ちます。
バオバブの歴史は大変古く、人類がまだ4足歩行していた時代から、フルーツとしてバオバブの実を食していたとされています。
またその巨大な木は雨風をしのぎ、強烈な日光をさえぎる役割も果たしていました。
人類が2足歩行を始めた約400万年前になると、木上の蜂蜜や葉を利用したり、幹を住居として利用するようになります。
「バオバブ」という特徴的な名前は、16世紀に北アフリカを旅したイタリア人植物学者が「バ・オバブ」と著書に記したのが始まりとも言われています。
古来よりバオバブとアフリカの人々とは切っても切れない関係にありましたが、近年のスーパーフードブームにより、その栄養価の高さに世界中から注目が集まっています。
特徴
バオバブには様々な種類があるとされており、「バオバブ」という名前は、アオイ目アオイ科バオバブ属の総称を指します。
その巨大な樹木は高さ約30m、直径は約10mに及び、その樹齢は5000年以上とも言われていますが、あまりにも長寿なために正確にその樹齢を測ることは難しいのが現状です。
アフリカの人々は、バオバブを食料や薬として、その幹や皮を織物や縄、布、壁材、貯蔵庫、住まいとして利用しています。
枝から垂れ下がる形で実るバオバブの果実は、とても硬い緑の外皮を持っています。
中には白っぽい果肉がぎっしり入っており、一見マシュマロのようにも見えますが、この果肉はかなり乾燥していているため、最小限の精製加工により製品化できるのが特徴です。
こうして作られるバオバブパウダーは、ほのかに甘く少し酸味と苦味があり、ほんのり果物の梨のような風味があります。
サンテグジュペリの「星の王子さま」に出てくることで有名なバオバブですが、上下逆さまにみえる特徴的な見た目には、様々な伝説や逸話があります。
バオバブは地球最初の木でした。
その次にスレンダーで上品なヤシの木が現れました。
それを見たバオバブはもっと背が高くなりたいとお願いします。
次にやってきた火炎樹は真っ赤な花をもち美しく、バオバブも花を咲かせたいとまたお願いしました。
その次にやってきたフルーツを実らすいちじくを見たバオバブは、今度はフルーツを実らせたいとお願いしました。
その姿を見た神様は、怒ってバオバブの根を抜き、地面にさかさまに突き刺しました。
これは他を妬んだり羨んでは行けないという逸話として語り継がれているようです。
栄養成分
バオバブは栄養価が非常に豊富で、特に抗酸化作用と整腸作用に優れています。
抗酸化作用
バオバブに豊富に含まれるポリフェノールは、強い抗酸化作用を持ち、アンチエイジングに効果的です。
またレモンの3倍、オレンジの6倍も含まれるビタミンCは、シミの原因物質であるメラニンの生成を抑え、コラーゲンの生成を促すなど美肌効果があります。
整腸作用
バオバブには食物繊維が豊富に含まれており、特に水溶性食物繊維が豊富です。
食物繊維には、腸で水分を含み膨張し腸を刺激することで蠕動運動を活発にする不溶性食物繊維と、水分を吸収してゲル化し、血糖値の急上昇を防いだり、食べすぎの防止に役立つ水溶性食物繊維があります。
この両方をバランスよく摂取することで腸内環境が整っていきますが、水溶性食物繊維は意識して摂取する必要があるため、バオバブは食物繊維のバランスを整えるためにも非常に有効です。
このように食物繊維は水溶性・不溶性ともに腸内の老廃物を体外へ排出する働きを持ち、さらに善玉菌を増やす作用もあるため、腸内の環境を整え便秘を解消する効果が期待できます。
この他、カルシウムは牛乳の約3倍、鉄分はモロヘイヤの4倍とミネラル分も豊富で、食用や美容オイルにも使用されるバオバブオイルには、リノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、肌のバリア機能をアップさせるなど美肌効果も期待できます。
- ポリフェノール
- ビタミンC
- カルシウム
- 鉄分
- 食物繊維
- リノール酸・・・など
期待できるメリット
バオバブの実や葉や樹皮は、消化不良、外傷、炎症、発熱、疲労回復、腰痛、頭痛、喘息などの万能薬として古来より愛用されてきた歴史を持ちます。
また根は子供の免疫力を高めるともいわれており、これらの様々な効能が「生命の木」と呼ばれる所以でしょう。
- 便秘改善・整腸作用
- アンチエイジング
- 美肌効果
- 免疫力向上
- 消化不良の改善
- 抗炎症作用
- 解熱作用
- 疲労回復
- 腰痛・頭痛の緩和・・・など
選び方・利用方法
バオバブは樹木全体(果実、種子、花、葉、幹など)が利用でき、食糧や民間薬、住居など様々なものに利用されています。
原産国では、果実は砂糖と混ぜてデザートにしたり、水や牛乳を加えて健康ドリンクとして飲まれたりもします。
また新鮮な花や葉は、サラダとして利用され、種は加熱したり発酵させたりしてコーヒーのように利用されたり、種から採れるオイルは食用油としても利用されています。
日本で手に入るバオバブは、パウダーになっているものが主流です。
非加熱のものや加工課程ができるだけ少ない良質なものを手に入れるようにしましょう。
甘みと酸味を併せ持つバオバブパウダーは、スムージーとの相性もよく、料理に使用してもコクをプラスすることができます。
また、ドレッシングに混ぜてもよいですし、スイーツなどにも手軽に利用できるため、摂取しやすいスーパーフードとして活用されています。