ザクロ/ポメグラメイドの歴史
ミソハギ科ザクロ属の一種であるザクロは、非常に多くの栽培種・変種があり一般的な赤色のザクロのほかにも、白い水晶ザクロや果肉が黒いザクロなどがあります。
古代の神話にも登場するザクロは「神々が好んだフルーツ」とも言われ、古代イランでは汚れた血液を浄化する「生命の果実」として、古代ギリシャでは数々の医学書に薬として、ローマの神話では豊穣・多産の象徴として、その歴史的記述が大変多いという特徴があります。
原産国は、現在のイランやトルコなどのペルシャ地方という説や、北インドのヒマラヤ山地にいたる西南アジアとする説、南ヨーロッパ原産とする説や、カルタゴなど北アフリカ原産とする説などがありますが、ペルシャ地方という説が有力で、この辺りの地域に連なる「ザクロス山脈」が名前の由来だという説もあります。
ザクロの伝来は、ペルシャから西のシリア、エジプト、ギリシャなどの地中海を経てヨーロッパに伝わりました。
さらにシルクロードによりインド、中国、日本などのアジアへも伝わりました。
特徴
ザクロは、外皮と種子を除いた赤い「種衣」の部分が可食部となり、そのまま生食するほか、果汁をジュースにしたり、乾燥してパウダー状になったものが市販されています。
女性に嬉しいメリットの宝庫
歴史的記述が多いザクロですが、豊穣や子育てへの信仰、子孫繁栄と結びついたものが多いのが特徴です。
沢山の種子を持つザクロは、中国でも子孫繁栄の象徴として結婚式の祝宴のテーブルに蓮の実と共に飾られたり、新婚のお祝いや節句に重要な縁起物とされています。
また古代インド発祥の伝統医学であるアーユルヴェーダの古典には、安産の妙薬として出産予定の2ヶ月前から少量の岩塩とともにザクロを摂取するとよいと記されています。
近年の研究により、ザクロには女性ホルモンのエストロゲンに似た成分が含まれることがわかってきています。
これにより、これらの古典への記述に対する科学的根拠が明らかになりました。
様々なザクロの品種
アメリカではワンダフル、ルビーレッドなど、中国では水晶石榴、剛石榴、大紅石榴などの品種が多く栽培されています。
しかし、日本に輸入されるものの多くは、イラン産、カリフォルニア産です。
輸入品は日本産の果実より大きいのが特徴です。
栄養成分
女性のホルモンに似た成分を含む
ザクロの栄養成分として特出すべきなのは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た成分である「エストロゲン様物質」が含まれている事でしょう。
本来エストロゲンは、人体でしか作ることができません。
しかし、ザクロに含まれているこの天然植物性エストロゲンは、人体で生成されるエストロゲンホルモンと似た生理作用を起こすとされており、不妊や更年期障害、現代の女性に増加傾向にあるPMS症候群に対してメリットが期待できます。
また、美白作用のあるポリフェノールであるエラグ酸も含まれており、女性に嬉しい成分の宝庫です。
男性にも嬉しい効果
このエストロゲン様物質は、女性だけでなく男性にもメリットをもたらします。
エストロゲンによる血管拡張効果や、男性ホルモンの過剰な分泌を抑制する作用、またザクロが持つ血液を美しくする働きなどの相乗効果により、薄毛が気になっている方への育毛効果や、男性ホルモンが関係する前立腺がん細胞の増殖を抑制する効果があることが、近年の研究で明らかになってきています。
- エストロゲン様物質
- クエン酸
- ビタミンB1,B2,C
- ナイアシン
- 葉酸
- カリウム
- 鉄
- カルシウム
- 酒石酸
- アントシアニン
- グルタミン酸
- アスパラギン酸
- タンニン
- エラグ酸
- プニカラギン・・・など
期待できるメリット
- ホルモン分泌を整える
- 不妊・PMS改善
- 更年期障害の緩和
- 美肌効果
- 前立腺ガン細胞が増えるのを抑制する
- 成人病の予防
- アルツハイマー予防・改善
- 疲労回復
- 代謝促進
- 抗炎症作用
- 尿管結石の改善
- アンチエイジング
- 血液の浄化・・・など
選び方・利用方法
国産のザクロの旬は秋口ですが、国産のざくろは酸味の強いものが多いため食べにくいと感じられる方もいらっしゃるでしょう。
一方、カリフォルニア産のワンダフル種などは、酸味より甘味の強いものが多く、市販のものはほとんどが輸入品なため、生食する場合には農薬使用の有無などをしっかりと確認して購入するようにしましょう。
中東や北インド、メキシコなどでは、果肉の粒を煮込み料理やデザートなどの料理の飾り付けに用いる地域もあります。
彩りが鮮やかになるので果実が手に入った時にはぜひ試してみてください。
また、一年中使用できるものとしては、ザクロ粉末(ポメグラネイトパウダー)がお勧めです。
可食部をパウダー状にしたもので、そのままスムージーやスイーツ、ドレッシングなどに用いることができ、甘みと酸味が程よいアクセントになります。